「値下げしましょう」と言われたとき、先に確認したいこと
売却を依頼して数ヶ月。届くのは「反響がないので価格を下げましょう」という提案ばかり。このとき、値下げに応じる前に確かめておきたいことがあります。売れない理由は価格だけではなく、そもそも買いたい人に情報が届いていないことがあるためです。
値下げは「原因が分かったあと」の手段です
はじめにお伝えしたいのは、値下げそのものが間違いだということではありません。売出価格が相場から離れていれば、下げることが正解です。周辺の競合物件と比べて高ければ、買主様は比べたうえで他を選びます。
問題は順番です。なぜ反響がないのかを確かめる前に値下げだけが提案されると、原因が別のところにあった場合、下げても反響は増えず、また次の値下げを提案されることになります。
反響がない理由は、価格以外に3つあります
売出価格が妥当でも、次のどれかが起きていれば反響は増えません。
| 01 | 情報が他社に行き渡っていない レインズに登録されていても、図面や写真が付いていないことがあります。他社の担当者は、資料のない物件をお客様に紹介しづらくなります。物件の力ではなく、見つけてもらえていないだけという状態です。 |
| 02 | 内見がしにくい 内見用の鍵が遠方にある、案内できる時間が限られている。こうした条件があると、内見の予定が組みにくくなります。買いたい方は同じ日に何件も見て回るので、日程が合わない物件は候補から外れます。 |
| 03 | 見せ方が整っていない 写真が暗い、枚数が少ない、間取り図がない。買主様は画面で見比べてから内見先を決めるので、ここで候補に残らなければ内見まで進みません。 |
いずれも、価格を下げても解決しません。逆に言えば、ここが整えば価格を下げずに反響が増えることがあります。
1つ目は、売主様ご自身で確認できます
レインズにどう登録されているかは、確認してよい事柄です。レインズとは、国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営する、不動産会社間の情報ネットワークです。専任媒介・専属専任媒介であれば、登録の義務が生じます。
2025年1月の改正で、レインズの取引状況が登録事項になりました。公開中・交渉中といった状態が登録される形に整えられています。
ご依頼中の会社に「登録状況を見せてください」とお伝えするのは、何も失礼なことではありません。売主様が確認できる情報です。聞きにくい場合は、当社でお調べすることもできます。
当社でお調べする場合
ご依頼中の会社に連絡が行くことはありません。登録されている内容と、他社から見たときにどう見えているかをお伝えします。
お伝えした結果、「登録も見せ方も問題なく、価格が相場から離れている」ということもあります。その場合は値下げが妥当だと率直に申し上げます。原因が分かったうえで下げるのと、分からないまま下げるのは別のことです。
値下げの提案が出てくる時期が、物件の事情ではなく媒介契約の期間で決まっていることがあります。その話はこちらにあります。
情報が絞られる仕組みについて
1つ目の「情報が他社に行き渡っていない」が意図的に起きている場合、それは囲い込みと呼ばれる状態です。なぜそうした力が働くのかは、仲介手数料の仕組みから説明できます。
ここで申し上げたいのは、ご依頼中の会社を疑ってくださいということではありません。売却活動が機能しているかどうかを、売主様が確かめられる状態にあるべきだということです。当社が内見申込や他社からの広告掲載依頼をそのつどお知らせしているのは、確認しなくても分かる状態をつくるためです。
値下げの提案を受け続けたあと、価格を下げずに売却されたお客様の体験談があります。
「下げるしかない」と言われ続けた実家が、値下げなしで売れた。
よくあるご質問
- Q. 値下げの提案は、断ってもよいのですか?
- 原因を確かめる前であれば、いったん保留にしてかまいません。売出価格が相場から離れていれば下げることが正解ですが、原因が別のところにあった場合は下げても反響は増えず、また次の値下げを提案されることになります。値下げは、原因が分かったあとの手段です。
- Q. レインズの登録状況を見せてもらうことはできますか?
- できます。ご依頼中の会社に「登録状況を見せてください」とお伝えするのは、何も失礼なことではありません。専任媒介・専属専任媒介であれば登録の義務が生じますし、2025年1月の改正でレインズの取引状況も登録事項になりました。
- Q. 価格を下げずに反響を増やすことはできますか?
- できる場合があります。反響がない理由は価格以外に、情報が他社に行き渡っていない、内見がしにくい、見せ方が整っていないの3つがあります。いずれも価格を下げても解決しませんが、逆にここが整えば価格を下げずに反響が増えることがあります。
- Q. いまお願いしている会社に知られずに相談できますか?
- できます。当社でお調べする場合、ご依頼中の会社に連絡が行くことはありません。登録されている内容と、他社から見たときにどう見えているかをお伝えします。調べた結果「登録も見せ方も問題なく、価格が相場から離れている」ということもあり、その場合は値下げが妥当だと率直に申し上げます。
※本記事は2026年10月時点の制度・運用にもとづいています。売出価格の妥当性は物件の状況や市況によって異なります。
この記事を書いた人

渡邉 圭太
エルシーズ株式会社 代表取締役
1984年生まれ。芝浦工業大学卒業後、リゾートトラスト株式会社にて会員権営業に従事し、入社2年目に年間優秀社員賞を受賞。その後、不動産業界で売買仲介・賃貸仲介・賃貸管理の実務を幅広く経験し、2019年にエルシーズ株式会社を設立。「正直に、真っ当に」を掲げ、売却活動の透明化に取り組んでいる。
公益社団法人 全日本不動産協会 東京都本部 渋谷支部 役員/公益社団法人 不動産保証協会 東京都本部 渋谷支部 監事
エルシーズ株式会社(国土交通大臣(1)10190号)
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